母の想い そして苦悩![]() 浩太郎の事故の報道を受けて、カンガルーケア中に事故が多発している事が やっと世の中に明らかとなり、少なからずも警鐘を鳴らすことができたと思います。 これまで事故が起こっているにもかかわらず、漫然と行われていたカンガルーケアに対して、 家族に対する充分な事前説明を行うこと 機械を用いたモニタリング、及び新生児蘇生に熟練した医療者による観察を行うこと などが医療従事者間で周知徹底させる意識を深めたことで、 浩太郎に対して少しは顔向けができます。 しかし、この対策では何の防止策にもなっていないことに皆さんお気付きでしょうか? 赤ちゃんにモニターをつけても、医療従事者が監視をしていても、 単に今までできていなかった発見が早くなるだけで、 赤ちゃんにチアノーゼや黄疸が出ること、 そして呼吸が止まることを防ぐことはできないのです。 また、充分な事前説明とありますが、 カンガルーケアが母乳の出が良くなるから、その後の母子関係に有効だから、 赤ちゃんの呼吸が止まるかもしれませんが、カンガルーケアをしましょうと説明されて、 カンガルーケアを望む母親がどこにいるというのでしょうか? 赤ちゃんを母親の胸に抱くこと、 いわゆるカンガルーケアがその後の母子関係に良いというのは わざわざ声高に謳わなくとも当然のことではないでしょうか? それはカンガルーケアではないとか、 skin to skin contact だの名称などどうでもいいのです。 実際にやり方も様々に行われているのですから。 問題はカンガルーケアの是非ではなく、 なぜ、元気に生まれて、何の問題もない赤ちゃんの呼吸が止まるか! なのです。 私達の事故が起きる何年も前に、全く同じ事故が起きていた事を知った時、 私は怒りと恐ろしさで体の震えを抑えることができませんでした。 その御両親も私達と全く同じで 「こんな辛い経験は私達だけで終わりにしてほしい」 と言われています。しかしその思いは全く無視されています。 なぜ、ですか? なぜなんですか? 最初に事故が起こった時に、 医療従事者側が真摯に反省し、自ら事故を公表し、原因究明、再発防止に努めれば、 二度と同じ事故が起こることを防ぐことはできたはずです。 その時点で原因が分からなかったとしても、 公表されていれば、世の中に注意喚起することができ、 少なくとも被害の拡大を防げたはずです。 私達は、医療従事者がいてくれるからこそ、私達の命が守られていることに、 感謝もしているし、尊敬もしているし、信頼もしています。 しかし残念なことに医療事故が起こると医療従事者側は決まって隠蔽し、 専門性を盾に責任の所在をはぐらかし、自分達を守ることに躍起になります。 そして私達の信頼は無残にも裏切られるのです。 この時、議論になるのは必ず、医療従事者側の責任を問うと医療を志す者がいなくなる、 ひいては医療が発展しないなどです。 果たしてそうでしょうか? 逆ではないでしょうか? 完璧な人間などいないのですから、過ちを犯すこともあるでしょう。 大切なのは、事故が起こった時、 二度と同じ事故が起こらないようにする為に、 先ずは事故をあからさまにして、注意喚起を促し、 徹底的に問題点を洗い出し、 なぜ事故が起こったのか? どうすれば回避できたのか? これからはどうすべきなのか? 事故と真摯に向き合うことなのではないでしょうか? 体制に不備があるのなら、言い訳をするだけでなく、 その体制を変えていくことが、医療従事者を守ることであり、 それが医療の発展につながるのではないでしょうか? 一般社会では当たり前のようになされていることです。 なぜ医療界だけが、事故が起こった時、速やかに公表されないのでしょうか? 事故を隠して、うやむやにしてしまうことが、一般社会からの信用を失墜し、 医療従事者の反省の無いまま、医療の質を低下させ、逆に衰退させるのではないですか? 医療従事者の個の責任を追及せず、 その個人の責任の賠償を肩代わりしてやることだけが 医療従事者を守ることではないと思います。 これ程までに被害が広がった原因は何なのか? そこには計り知れない圧力があるとしか思えません。 これから、私達が事故を通して見えてきたこと、 直面したさまざまな疑問を、少しずつ書き綴っていきたいと思います。 2010年10月 |
1. なぜ赤ちゃんの呼吸が止まったのか!?
2. 夜勤体制について 3. 助産師の実態 4.助産師は看護師でないのですか? 5.水も飲めない分娩 6.勤務医に責任はないのでしょうか? 7.新生児蘇生術の講習について 8.なぜ久保田医師の学説は認められないのでしょうか? 9.賠償責審査会とは? 10.公表について 11.未だ原因はわからないのでしょうか? 12.抱いてなんかいません 13.全く突然のことでした 14.あたりまえ 15.“釋浄蓮童子”になりました 16.刑事告訴について(その1) 17.刑事告訴について(その2) 18. 出産施設について 19.示談成立までの歩み その1 「訴訟への覚悟」 20.示談成立までの歩み その2 「弁護士事務所へ」 21.示談成立までの歩み その3 「医療界の隠蔽体質と闘う医師」 22.示談成立までの歩み その4 「有責」 23.示談成立までの歩み その5 「クレーム」 24.示談成立までの歩み その6 「公表の意味」 25.みんなで育てる、みんなのこども 26.示談成立までの歩み その7 「助産師の反乱」 27.示談成立までの歩み その8 「助産師の任務」 28.示談成立までの歩み その9 「示談書」 29.示談成立までの歩み その10 「法の下の平等?」 30.産科医療補償制度について 31.示談成立までの歩み その11 「調印」 32.示談成立までの歩み その12「説明会」 33.口外禁止条項 34.さらなる事故 35 .示談成立までの歩み その13「助産師の診断書」 36.NICU 37.示談成立までの歩み その14 「長崎県医師会からの回答書」 38.示談成立までの歩み その15 「再びさらなる事故」 39.示談成立までの歩み その16 「助産師の妊娠」 40.弁護士さえも翻弄される 41.長崎市民病院出産事故 42.示談成立までの歩み その17 「助産師の言葉 43.精霊船(最終章) |