抱いてなんかいません
これは2010年2月9日に書き下ろしたものです。
私は浩太郎が生まれてから、一度も浩太郎を抱いたことはありません。
母子関係に有効だから、母乳育児に繋がるからと、
赤ちゃんの出生直後に母親の胸に「抱かせる」カンガルーケアですが、
私が浩太郎の出生直後にさせられた行為は「抱く」行為ではありません。
そもそも医療界の方々がお好きな
WHOが奨めているカンガルーケアというものは、
ファーラー位(Fowler’s)
で行うものであって、赤ちゃんを水平にすることを禁じています。
カンガルーケアの危険情報
また赤ちゃんのうつ伏せ寝が危険であることは
専門家にとっては常識であるそうです。
赤ちゃんが元気なら、
自分で回避できるという意見もあるそうですが、
危険をはらんでいる以上、
医師や助産師不在のもとに行うものではありませんよね?
しかし浩太郎の事故報道の後、自分も被害にあったと
連絡してきてくださった方々は、皆さん、
助産師から赤ちゃんを水平の状態や
うつ伏せ寝の状態で置かれています。
もちろんお母さんも分娩台あるいはベッドの上で
水平に横たわった体勢です。
またHP上に掲載しています
カンガルーケアの経験談(その1)
でも、
赤ちゃんは母親の首筋に顔を埋めるように置かれていて、
このお母さんは問題点を指摘してくださっています。
既にこの段階で、日本でのカンガルーケアは
WHOの方法は守られていませんし、
うつ伏せ寝禁止も守られていません。
その時点で、助産師、医師の職務怠慢による医療過誤であることは、
言い逃れのしようない事実のはずだと思います。
ですが、そのことは問題にもされず、
医師からは前述の通り「乳幼児突然死症候群の疑い」と診断され、
医療事故とは認識されず、闇に葬られてきました。
私の場合は、「事故の詳細」で述べている通り、
あえて水平は避けられていましたが、
私自身はほぼ水平な分娩台の上で、
右を下にして横たわった体勢で、
赤ちゃんは左を下にした形で、
右腕に赤ちゃんを乗せられた格好で置かれ、
抱いてはいません。
これはうつ伏せ寝を警戒し、避けたものと思われますが、
ファーラー位とは程遠い形態です。
そして、私も含めて、皆さん、口を揃えたように言われるのは、
その時に感じた
「不安」
です。
ポイと赤ちゃんを置かれたまま、助産師はいなくなる。
私の『事故の詳細』でもお分かりのように、
母親は不安で不安でたまりません。
ですが、助産師さんが忙しいのはわかっていますから、遠慮しています。
そして赤ちゃんの呼吸停止。
それなのに、あたかも呼吸停止に気づかなかった母親が悪いかのように、
言わずとも、母親はどれだけ自分を責めるか!
助産師ならば、その苦しみを理解して然るべきと思いますが、
わが身かわいさか、
医師に保護されていることをいいことに、
今までの事故は表沙汰になりませんでした。
私の友人に10年ぶりに4人目の子どもの出産をした人がいますが、
私の苦悩は想像を絶するけれど、
不安になった気持ちはよくわかる、と言ってくれました。
その友人も、カンガルーケアの事前説明はなく、
抱かされたことに非常に驚き、心配だったと。
赤ちゃんを見ようともしない
バタバタとした助産師さんたち・・・、
上の子達は生まれてすぐに会えない不安はあったけれど・・・と。
また別の友人で6年ぶりに3人目の子どもを出産した人は、
これもまた事前説明はなく、
いきなり「赤ちゃんはあったかいでしょう?!」と、
助産師は自慢げに言って、抱かせたと、
何年も経てば、こんなにも出産後のケアが
違うものかと驚いたと言いました。
どちらも事前説明はなく、医療者としての怠慢さが伺えます。
また、私は浩太郎を助産師から預けられた時、
「あったかい」とは感じませんでした。
既に浩太郎の体温は下がっていたのでしょう。
それに気づかない程度の観察力しか助産師にはないのでしょうか?
これがカンガルーケアを強硬に推し進めてきた医療界の実態です。
危険を訴えて来られた医師の方々もおられますが、
それが聞き入れられず、
事故も表沙汰にならず、被害は拡大していったのですから、
医療界全体の責任だと思います。
実際に事故は起こっているのに、
表沙汰にならなかった理由はなんですか?
実際に事故は起こっているのに、
カンガルーケアを続行する科学的根拠はなんですか?
人の命を粗末にしているとしか受け取れません。
医療界が、カンガルーケア中の赤ちゃんの呼吸停止の原因を、
医師が専門性を盾に、乳幼児突然死症候群と
安易に診断していることを見過ごし、
医師、助産師の傲慢や怠慢の責任を追及せず、
医療体制のもとに保護し、
名誉毀損を利用して事故を表沙汰にせず、
さらには医療界の巨頭体制が
足かせとなって原因を追究できず、
“医療は難しい”と、
ご自分達を正当化してきた結果ではないでしょうか?
この医療体制のどこに医療へ対する信頼が持てるというのでしょうか?
浩太郎が生まれて1年と2ヶ月でしたが、
浩太郎を抱いたのはほんの数十分、
数えるくらいの回数です。
それも「抱く」のとは違います。
人工呼吸器をつけていますから、看護師さんの介助の下、
腿の上に載せ、腕で浩太郎の頭を支える格好です。
“高い、高い”をしてあげることもできなければ、
おんぶしてあげることもできませんでした。
それでも浩太郎は一生懸命に生きていました。
これが、母子関係に有効だから、母乳育児に繋がるからと、
赤ちゃんの出生直後に母親の胸に
「抱かせる」カンガルーケアの望む結果ですか?
命を預かる医療界の傲慢に満ちた体制が生み出した結果だと私は思います。