示談成立までの歩み その12「説明会」
2010年12月3日、示談書の調印を済ませた時、(参照 その11)
説明会について、
「12月11日土曜日の17時半からでどうでしょうか?」
と弁護士さんから言われました。
結局、私達の要望は受け入れて貰えず、
浩太郎の誕生日後なのか、と落胆しました。
2010年6月23日に申し入れ、
随分と待たされた「説明会」でしたが、
12月11日に行われたこの会は、
「説明会」と言える程のものではありませんでした。
5時半ちょっと前に弁護士事務所へ行くと、
もちろん、担当助産師は来ておらず、
産科医院の院長と師長、その弁護士さんが既に来ておられました。
顔を合わせた途端に「この度は大変申しわけございませんでした。」
と頭を下げられ、
「まあまあ、立ってもなんだから」とこちらの弁護士さんから促され、
全員着席しました。
そしてあちらの弁護士さんから、
名刺を渡された後、少々の前説があり、
再び、院長と師長が立ち上がって、
「本当にこの度は申しわけございませんでした。
私共の管理体制が悪く、このようなことになってしまい、
また何分初めてで、職員にも事故後の対応の教育もしておらず、
精神的苦痛を与えてしまって、誠に申しわけございませんでした。」
と言われ、その後着席されました。
事故に関しては何の説明もなく、これだけです。
私は、煮えくる苛立ちを押さえつつ、
「私は、院長の「救急隊に電話した!」の言葉以来、
浩太郎がなぜ救急搬送されたのか、
何の説明も受けていないので、
医師としてきちんと説明をしてくださいと申し上げたのです。」
と言いましたが、院長は無言です。
業を煮やして、
「助産師が駆けつけた時、浩太郎はどうしてたんですか?」
と聞きました。
院長は、「蒼白で……、……、」
もごもごとはっきり言いません。
また、私が「助産師はなんと院長に連絡してきたんですか?」
それでも、もごもごとはっきり言いません。
そして、私が「院長が駆けつけた時、浩太郎はどうしてたんですか?」
それでも院長は何も言いません。
ついに私が、「助産師が駆けつけた時、浩太郎は呼吸してなかったんですね?」
と聞くと、院長はうなずきました。
これだけです。
院長は何がどう悪かったのか、
自ら説明することなど何一つなく、
私は、これが医者なのだろうか? と呆然としました。
誰かから、何も言うなとでも言われているのだろうか? とさえ思いました。
今度は、夫から、
「再発防止のためにどのような対策をとられていますか?」
と質問しました。
すると師長から、
「お母さん方に事前説明を行って……、監視体制も強化しています……。」
とのことでした。
またも私は煮えくり返り、
「私達のHPはご覧になっていますよね?
事前説明って、
赤ちゃんの呼吸が止まるかもしれないって言ってるんですか?」
と問い質しましたが、はっきりした答えは返ってこず、
「なぜ、言わないんですか!
それじゃあ、説明したことにならないでしょう!」
といきりたちました。
すると、また師長から
「正式なカンガルーケアってご存知ですよね?
正式なカンガルーケアは赤ちゃんの肌とお母さんの肌を直接合わせるもので…、
私達はそうではなく、肌着を着せて…、保温をして…、
正式なカンガルーケアのやり方と違う方法で行っているので
「カンガルーケア」とは患者さんに伝えていません……。」と
カンガルーケアの御託を並べながら言われました。
私は、呆れてしまって、
大きなため息が出て、
その場にいた全員が静まりかえりました。
浩太郎が、その産科医院で事故に遭ったのに、
カンガルーケアを行うことに何の疑問も持たれていないようでした。
夫が「カンガルーケアを行う科学的根拠は何ですか?」と聞いても、
答えは何も返ってきませんでした。
次に、夫が私を気遣いながら
「原因究明はされているんですか?」と院長に問いました。
すると、院長から
「いろんな先生方が努力をされているんだけれども、
乳幼児突然死症候群の原因もなかなかわからず……。」
私は、またもため息が出ました。
夫が「そうではなくて、せっかく、というか、
浩太郎の事故に遭遇したのだから、
事故の事例を出しあったり、
各施設でのカンガルーケアのやり方を出しあったりして
共通点を見出し、検討し合うとか、
そういうことをしていただいたらどうかと思うのですが…」
すると院長から「なかなかそういうことができなくて……」
私は「じゃあ、誰がするんですか!」と大きな声が出てしまいました。
すると、相手側の弁護士さんが、
尚も、もごもごしている院長を制し、
「できることから始めないと!」と院長を叱責されました。
そして、「私からいいですか?」と言われ、
「先日、日本医師会への事故の報告、啓蒙・啓発をお願いする文書を送りました。
その後の行動は随時報告いたします。」
と説明してくださいました。
また、私達の弁護士さんは、師長に対して、
「看護師会や助産師会に、事故を報告するなりして、
再発防止に取り組んでいただくよう働きかけていただけませんか?」
とお願いしてくださいました。
産科医院の院長も師長も、
事故の原因の責任は認めていますが、
赤ちゃんの呼吸が何故止まるのか原因究明する必要性は感じておらず、
私達は呆れ果てました。
こんな名ばかりの「説明会」に何ヶ月も待たされたのか?
医者とは? 助産師とは? 何なのだろう?
私達が信頼し、尊敬し、感謝している聖職者であるはずの
医療従事者に対する疑心でいっぱいになりました。
ただ、少なくとも、
もちろん私達の弁護士さんと、
相手側の弁護士さんは理解してくださっているようで、
それだけが唯一の救いでした。
結局、事故の詳細は明らかになることは無く、
助産師と看護師2名の夜勤体制が不正なのかどうかも問題視されず、
この先も改善されることはありませんし、
出産直後の正常成熟新生児へのカンガルーケアは名称を変えて続行されています。
“二度と同じ過ちを犯さないこと”
という師長の言葉も虚しく、
今でも事故は繰り返され続けています。