示談成立までの歩み その6 「公表の意味」




2010年7月に入るとだんだん母乳の出が悪くなってきました。

それでもがんばって朝昼晩の3回搾っていましたが、

一回に搾れる量が少なくなって、

朝夕の2回にすると、少しだけ自分の時間が取れるようになりました。





前回7月9日の弁護士さんとの打ち合わせで(参照 その5)、

HPを自粛するように言われたのですが、

私達はやはり納得できなくて、

手書きで纏めていた「事故の時系列」と「精神的苦痛」を

HPに載せようと、私はパソコンに向かいました。





出来上がって、弁護士さんにその旨電話連絡すると、

待ったがかけられました。

一旦、掲載は留まったのですが、

私達の気持ちを弁護士さんにお伝えすべく、

以下のメールを送信しました。





昨日お電話でお話した事故の詳細をHPに載せる件ですが、

やはりどうしても現時点で掲載したく、

ご了承頂きますよう、ご連絡申し上げます。





元々私はもっと早い時点で掲載するつもりでおりました。

しかし私にはそれを纏めるだけの時間がありませんでした。

産科医院には、事故後5日目、

私の退院の日に公表することを告げ、了解も得ています。

それは悲しみに打ちひしがれていた私達の二度と同じ悲しい思いをする

親御さんが増えないようにという気持ちからでした。

その時点でカンガルーケアが行われていたと知らなかったにも関わらず、です。





ですから事故の翌週には各新聞社にメールで事故の公表を

御願いしたのですが
(参照 10.公表について)



その時点でカンガルーケアについての報道はできても、

事故の詳しい報道や産科医院の名前も出せないと言われ落胆したのですが、

ある新聞社の方から裁判になれば公表できるかもしれないと

アドバイスを頂いたので、

私達は事実を公表したいという気持ちで先生方にご相談に伺ったのでした。





本来は産科医院自ら公表して欲しかったのです。

それが私たちに対する謝罪だと思っています。

ですが、産科医院は公表はおろか、

報道各社の取材に対してもノーコメントです。

全く誠意が感じられません。

そのことで、私達は事故の苦しみ以上に

どれほど苦しまなければならないのでしょうか?





周産期医療の現場で、何が起きているのか?

何が原因なのか? 

改善するにはどうすればいいのか? 

そのために事実の公表は不可欠です。





今までに同じ事故に遭われた方々の公表があっていれば、

浩太郎は事故を免れたことでしょう。

公表ができなければ、また同じことの繰り返しです。

浩太郎は自分の命をかけて、

これからの赤ちゃんを救おうとしているのだと私は思っております。

浩太郎が受けた被害を無駄にしたくありません。





現段階で、カンガルーケアを行う際への警鐘はされましたが、

モニターをつけても、医療従事者が監視をしても、

正常成熟新生児の呼吸が止まることを防ぐことはできません。

防ぐことができるのに、です。

それはまさに日本の医療現場が抱えている様々な問題が

からんでいるからに他なりません。





夫の事故調査委員会への意見にしましても私達の素直な感情です。(参照 その5)

同じ事故に遭われた方々、また医療事故に遭われた方々、

おそらく多くの一般の人間が抱く、ごく当たり前の感情だと思います。





医療事故に対して賠償責任審査会という機関しかないのであれば、

そういう社会体制自体がおかしいのであって、

誰かが石を投じなければ事態は好転しないと思います。





もしも事故の詳細を掲載することによって、

今後の示談交渉に不利になるとしても覚悟の上です。

それは示談が成立せず、裁判になるとしても変わりません。

裁判になれば、負けても、産科医院の名前も出せますし、全てが公表できます。

しかしそれでは遅いのです。もう待てません。

今、こうしている間にも事故に遭っている御家族は存在すると思います。





また現時点でも、お気付きになってない御家族も多数いらっしゃると思います。

事を公にして、多くの方々に知って欲しいのです。

乳幼児突然死症候群で全てを終わらせて欲しくないのです。





不正な圧力に屈して、慰謝料をもらっても何の意味もありません。

また損害賠償をすれば済む問題でもないと思います。





私達が事の経過を随時公表すれば、

今の日本の医療事故裁判の問題点も浮き彫りになってくると思います。





事故の詳細を明らかにすることによって、

また私達の意見を明らかにすることによって、

もしも今の法により不当に裁かれても、人の心は裁いてくれます。

私達はそれで構わないのです。





どうか私達の思いをお聞き届けていただきますよう御願い申し上げます。

昨日、夫に連絡しましたが、

既に「事故の詳細 その1分娩前」と「その2分娩」は掲載済みでした。

お盆休みまでは待てません。

お忙しいとは思いますが、何卒ご協議頂き、

明日までにご返事をいただきたく御願い申し上げます。





そして、8月11日

交渉の方向性を変えなければならないからと打ち合わせに呼ばれました。

「医療事故に対して賠償責任審査会という機関しかないのであれば、

そういう社会体制自体がおかしい」
という私の意見に、

「その通り」 と弁護士さんは仰ってくださいました。





ですが、 「10.公表について」
でお伝えしていますように、

たとえ事実であっても、公表されたことによって、

損害を被ったとして名誉毀損で訴えられる危険性があると説明され、

文章に不適切な文言がないか、目を通して頂きました。

また、「品性を疑われる」ので言葉使いに注意するようにと。

以来、私はこの『ははのくのう』に載せる文章は、

全て弁護士さんに目を通していただいた上で掲載しています。



報道各社が自主規制をするように、

医療界に対しては、そこまでしないと、問題提起できない、

その医療界の傲慢さに気付いていないのは、

当の医療界だけではないでしょうか?





事故の原因究明をしようともせず、

損害賠償のみで事を済ませようとする、

公表されたら、名誉毀損で訴える、

人の命を預かる聖職者でありながら、

人として品がないのは、どちらでしょうか?





依然、産科医院の院長からの説明の件は進展なく、

いつのまにか「説明会」と名称がなっていました。

私達はその「説明会」に担当助産師も出席させるように要望しました。