生後30分以内のカンガルーケアのどこに問題があるのか


カンガルーケア発祥の地である熱帯コロンビアの分娩室は日本と違って温かい。

ところが、空調機が整備された日本の分娩室は、生まれてくる裸の赤ちゃんの為ではなく、

衣服を着た大人に快適な環境温度(24〜26℃)に設定されている。





NHKニュースが報じたカンガルーケア中のケイレン・呼吸停止(脳性麻痺)などの事例は、

日本の分娩室が赤ちゃんにとって寒すぎるにもかかわらず、

出生直後の体温管理(保温)を軽視した所に問題がある。

日本の分娩室で体温管理(保温)を怠ると、赤ちゃんの体温下降は著しく、

低体温から恒温状態への回復時間が遅れ、糖代謝に悪影響(低血糖)を及ぼす。





日本の分娩室(24〜26℃)で生まれる赤ちゃんの体温は、

生後1時間前後で約2〜3℃の体温下降を認める。

赤ちゃんは体温下降(低体温)を防ぐために

体温調節機構(放熱抑制+産熱亢進)を作動させ、

生後5〜6時間前後で低体温から恒温状態に移行するのが一般的である。





ところが、体温がまだ下降中の赤ちゃんを、生後30分以内に、

寒い分娩室で、保温なしで、長時間、カンガルーケアをすると、体温下降はさらに促進され、

低体温から恒温状態への回復が遅れる。





低温環境下で低体温を長引かせる事は、カロリー摂取が未だ出来ない赤ちゃんにとって危険が多すぎる。







ところで、カンガルーケアは低体温の予防に役立つとの報告がある。





しかし、それは赤ちゃんの体温が恒温状態に回復し、

栄養が十分に確保された赤ちゃんに限った場合のことである。





日本の寒い分娩室では、生後30分以内のカンガルーケアに体温下降を予防する保温効果は無い。





生後30分以内のカンガルーケアに固守するのであれば、

分娩室の温度を赤ちゃんに快適な中性環境温度(32〜34℃)に設定しなければならない。

それが不可能ならば、厚労省は生後30分以内のカンガルーケアの中止を

全国の医療機関に即刻通達すべきである。







尚、カンガルーケアの危険性については厚労省の

「授乳・離乳の支援ガイド(仮称)」策定に関する研究会に2006年に報告済みである。





(久保田産科医HPより引用)