カンガルーケア」で医療事故 名大病院で09年、新生児が呼吸停止
2011年10月27日 02時12分 中日新聞
名古屋大病院(名古屋市昭和区)は26日、
出産直後に母親が赤ちゃんを抱く
「カンガルーケア」中に新生児が呼吸停止になり、
後遺症が懸念される医療事故が起きたと発表した。
病院は注意義務違反を認めて両親に謝罪した。
病院によると、母親は2009年8月に
妊娠35週で破水し他院から搬送されてきた。
翌日に新生児を出産。
直後にカンガルーケアに移行し、
助産師は母親の左胸付近に
新生児をうつぶせで寝かせたという。
その後、助産師は別の分娩(ぶんべん)の手伝いで不在となり、
約20分後に戻ると新生児はぐったりして呼吸停止状態だった。
小児科医が蘇生し心拍は回復したが、
頭部磁気共鳴画像装置(MRI)で脳内出血などの異常が見つかった。
生後40日で退院。
首の据わりが悪く、腕が硬直するなどの後遺症がみられた。
2歳を過ぎた現在は回復傾向にあるという。
脳機能などの発達は長期的観察が必要としている。
病院は外部識者による調査委員会を設置。
父親がカンガルーケアから13分後に撮影した写真などをもとに検証し、
新生児の頭は母親の左肩にあり、
首が曲がって顔が母親の首に押し付けられたような状態だった。
調査委はこの姿勢が呼吸に悪影響を与えた可能性を指摘。
推奨されている左胸よりも高い位置に新生児がいたことや、
約20分間母子を観察していなかったことなどを問題視した。
名大病院は03年にカンガルーケアを導入。
実施マニュアルも作成しているが、
新生児の位置や抱き方の記載が曖昧だった。
病院は事故後、カンガルーケアを中止。
松尾清一院長は「医療体制の不備で生じた事故であり、深くおわびする。
マニュアルや手順などを全病院的に見直したい」と話した。
事故にあった新生児の母親は26日、代理人を通じて
「せめて顔が見える位置で抱かせてもらえれば事故は防げたはず。
カンガルーケアの際には目を離してはならないことをよく知ってほしい」
とコメントした。