「カンガルーケアで植物状態」両親が病院側を提訴 福岡地裁
2011年5月13日(金)21時05分配信
産経新聞 力武崇樹
福岡市の国立病院機構九州医療センターで生まれた女児が
植物状態になったのは、同センターがカンガルーケアで
出産直後の母親に女児を抱かせたまま経過観察を怠ったためとして、
両親らが13日、同センターを運営する同機構を相手取り、
計約2億3千万円の損害賠償を求める訴えを福岡地裁に起こした。
訴状などによると、福岡県糸島市の会社員、
夫◎◎さんと、妻○○さんの次女、
△△ちゃん(1)は21年11月20日正午過ぎ、
帝王切開で生まれた。健康状態は良好だった。
病院側は△△ちゃんを約6時間、保育器で観察した後、
○○さんに2回、計約2時間半にわたり△△ちゃんを抱かせたが、
助産師は「母乳をあげて」と言い残してその場を離れ、
定期的に様子を見ることはなかった。
○○さんが鎮痛剤の注射などで意識がもうろうとする中、
「(△△ちゃんが弱り)乳房をくわえない」と訴えると、
助産師は△△ちゃんを○○さんの左腕と胸の間に
タオルで巻き付けるように固定し、
「急患が来るので、(△△ちゃんを)横に置いておいてください」
と言って立ち去ったという。
その後、△△ちゃんは同日午後11時20分ごろ、
低体温症や低血糖症などにより心肺停止となり、
一命は取り留めたが、自発呼吸もできない状態となった。
原告代理人の羽田野節夫弁護士は
「母子を2人きりにして母乳を飲ませようとするカンガルーケア中の事故」と指摘。
「帝王切開後の母子の経過観察を怠り、
安全配慮義務が尽くされていなかった」と主張している。
一方、九州医療センターは
「弁護士を立てて何度も交渉し、過失はないと繰り返し述べている。
当院ではカンガルーケアを実施しているが、
この患者には実施していない」としている。
カンガルーケア 母親が出産直後に一定時間、胸元で赤ちゃんを抱っこすること。
母子関係の向上や母乳育児の促進に有効とされる。
ただ、体温より低い部屋でのケア中に、赤ちゃんが低体温状態や
低血糖症に陥って死亡したケースも報告され、
ケア中の安全面に配慮を求める意見や、ケアそのものを疑問視する見方もある。