大津地裁で8学会の「『早期母児接触』実施の留意点」を無視して行われた

早期母児接触の第1回期日



2015年3月19日

弁護士谷直樹/医療専門の法律事務所のブログ(引用)





今日,大津地裁での第一回期日に出頭しました.

8学会の「『早期母児接触』実施の留意点」を無視して行われた

早期母児接触実施による事故の賠償を求める医療訴訟です.





平成25年4月9日に,出産直後の母親に対し,男児と横臥位で添い寝させ,

早期母子接触を実施しながら,

人的監視措置・機械的監視措置はまったくとられなかった事案です.




この早期母子接触は,説明も同意もなく,被告が「よかれと思って」実施したものです.




陣痛発来から出産まで1日以上を要し,

その間母親はほとんど睡眠をとれていませんでした.

出産時刻も深夜でした.母親は疲労困憊していました。

母親は,初産婦で,これが早期母児接触であること,危険性があること等について

説明を受けていませんでした.そのため,母親は,

男児の状態について判断できる知識をもっていませんでした.

また,男児は,フード,おくるみ,毛布によりほぼ全身が覆われており,

皮膚色の観察等が困難な状態でした.このような状態のなかで,

約30分の間に,男児は,心肺停止となり,

新生児低酸素性虚血性脳症を原因とする脳性麻痺に因る重度の障害を負いました.




早期母子接触(いわゆるカンガルーケア)の事故が相次ぎ,

日本周産期・新生児医学会,日本産科婦人科学会,日本産婦人科医会,日本小児科学会,

日本未熟児新生児学会,日本小児外科学会,日本看護協会,日本助産師会は,

平成24年10月17日,

「『早期母児接触』実施の留意点」を発行しました.




「『早期母児接触』実施の留意点」には,

「早期母子接触が行われる出生後早期は、胎児から新生児へと

呼吸・循環の適応がなされる不安定な時期でもある。」

「生後早期は不安定な時期であるとの認識は持たなければならない。」

「早期母子接触を実施しない選択肢も考慮すべきである。」

と記載されています.




「特に、早期母子接触を実施する時は、

母親に児のケアを任せてしまうのではなく、

スタッフも児の観察を怠らないように注意する必要がある。」とし,

「パルスオキシメーターのプロープを下肢に装着するか、担当者が実施中付き添い、

母子だけにはしない」こと等が具体的に書かれています。




本件は,この8学会の「『早期母児接触』実施の留意点」を無視して

行われたために起きた事故と考え,提訴しました.




第1回期日に,被告は,簡単な答弁書をだして欠席しました.

訴状に対する実質的な反論は,第2回期日になります.

第2回期日は5月7日午後2時と指定されました.