医療は従事する者の生きがいのためにあるのではない、

医療を受ける者のためにしかないのだ。





メディカルトリビューンの 記事 を紹介されて、意見を述べておられます。


メルマガ第14号 2100.4.19 森 宏之(Prof.Mori,H.MD&PhD)より引用





2001年にWHOが生後6ヶ月間の乳児は母乳のみで哺育されるべきだという勧告を出しており、

英国を含む各国はそれに沿って、生後6ヶ月間の完全母乳哺育を推奨してきた。



これに対する ロンドン大学小児保健研究所からの疑義 がBMJ2011;342:c5955に掲載されている。


①生後間もない時期には、母乳のみで哺育することは支持される。

②安全な水道水と離乳食が確保できない地域では、

生後6ヶ月までは完全母乳哺育を推進することは妥当である。

③生後6ヶ月まで完全母乳哺育を受けると、小児の鉄欠乏性貧血が増加する。

④生後6ヶ月まで固形物を与えられないと、

食物アレルギーとくにセリアック病のリスクが高くなる。

⑤母乳のみで哺育すると、その後に乳児が緑色野菜などに含まれる

苦味などに慣れにくくなり、野菜の摂取に問題を残す。




この結果、不健康な食習慣を助長したり、肥満を起こす原因となりうる。

WHOによる完全母乳哺育の勧告は、清潔な飲料水や安全な食物がえられない地域では、

乳児には母乳以外を与えない方が良いというものである。




わが国のような先進国ではWHOの勧告は当てはまらないが、誤解して、金科玉条のごとく盲信している

医療従事者、とくに小児科医・助産師の一部がおり、現場では問題がおきている。




生後6カ月間は「母乳のみ」に異議  エビデンスの再検討が必要



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メルマガ第17号 2011.5.24



カンガルーケアで障害児になったと、国立病院機構九州医療センターが2億3千万円の訴訟を受けた。




カンガルーケアは保育器などがない発展途上国では、

新生児の体温保持のために母体に抱かせるのが良い、というのが原点だ。

それがいつの間にか、助産師の間で、母乳分泌を促進するという宗教的な流行を生み出した。




清潔な水がえられない地域では、たとえ足りなくとも母乳だけを与えた方が

人工栄養よりも新生児・乳児の死亡率が低いという事実を踏まえて、

WHOが発展途上国では完全母乳哺育が良い、とする勧告を出した。




それが誤解され、

一部の助産師の間で熱狂的な完全母乳哺育の信仰を生み出している。

また、それに迎合する一部の医師が、彼女達の軽挙妄動に力を貸しているのも事実だ。




わが国のような先進国では、カンガルーケアも完全母乳哺育も、意味はない。



ところが、この2つが

助産師のアイデンティーの確立のための方法にすり替えられ、

臨床を事実に基づき科学という立場で捉えることを忘れ、

信念だけで臨床を猛進するという事態が起きている。




結果、その犠牲になるのは、児であり、母体である。




その姿勢は、ホメオパシーと重なり合っており、

完全母乳哺育とホメオパシーの強制が児を死に追いやり、

訴訟を招く事態ともなっている。




今回の訴訟は起きるべくしておきたし、猛省をもたらす契機としなければならない。




医療は従事する者の生きがいのためにあるのではない、

医療を受ける者のためにしかないのだ。